ごあいさつ




第15回日本がん分子標的学会学術集会を2011年6月22日(水)〜24日(金)の3日間にわたりホテル日航東京で開催いたします。

本学会は研究会として1997年に発足しましたが、その後順調に発展し2009年には学会となりました。この間の分子標的薬の急速な進歩と発展は、15年という長い年月さえあっという間であったと感じさせるほど急速なものでした。分子標的という新しいコンセプトに基づく薬剤は、夢の薬として常に多くの期待と注目を浴びてきました。そして、次々に発見される標的に対する薬剤の開発がすすみ、その臨床試験も活発に行われています。もちろん、すべてが夢の薬として成功を収めたわけではありませんが、従来の薬物ではまったく手の施しようのなかった病態を劇的に改善するものも現れるようになりました。今後、分子標的薬に対する期待はますます大きくなるものと予想されます。

本会の創始者の一人である鶴尾隆先生は、産官学の連携の下、本会が単なる研究開発の発表の場ではなく、分子標的薬の新しい研究成果が実際に臨床応用され、患者さんに広く恩恵を与えるまでの道筋を見据えた会として育てようと努力してこられました。この考え方はトランスレーショナルリサーチという言葉で表現できますが、その実現には多くの困難を伴います。基礎研究者と臨床研究者が辛抱強く相互の理解を深め、長い時間をかけて信頼関係を築かないと成功は期待できません。

学術集会のメインテーマは「がん分子標的治療薬の実力と未来」とさせていただきました。もちろん従来と同様、新しい分子標的薬剤や標的分子に関する最新情報を研究者から発信することが期待されます。一方、臨床サイドからがん分子標的薬の華々しい成果を明らかにすると同時に、その限界や臨床上の問題点を指摘することで、開発研究に携わる方々のモチベーションがさらに上がり、正しい方向に研究が推進されることを期待して、今回このメインテーマを決めました。

学術集会の枠組みは、基調講演、トピックスをreviewするYear in Review、シンポジウム、ワークショップ、ポスターセッションなど、基本的には第13回総会で曽根三郎理事長が作られたものを踏襲しました。この枠組みが極めてよく考えられたもので、継続する意義があると考えたからです。2011年6月にはお台場の会場に集まり、がん分子標的治療の成果と新しい展望を、ほかの研究者、臨床家、国民に広く知らしめて、本会のプレゼンスを高めようではありませんか。

多くの皆様の演題応募と学術集会への参加を期待しております。